サイエンスカフェを実施しました<2025.8.28>
2025年8月28日、オンラインにてサイエンスコミュニケーター・武田真梨子氏(つくばまちなかデザイン株式会社)による講演が行われました。武田さんは、日本科学未来館での実務経験、高校教員・研究職・クリエイティブ企業での勤務を経て、現在はつくば市内でサイエンスコミュニケーション実践を担っていることが示されました。
前半は「サイエンスコミュニケーターとは何か」の骨子が提示され、次の三点が軸として示されました。
- 科学・技術に関する情報を正確かつ分かりやすく伝えること。
- 研究者と生活者が対話できる場を設計・運営すること。
- 研究や技術を来場者が体験できる機会を創ること。
事例として、日本科学未来館のシンボル展示(ジオ・コスモス)や、館内で活動する人とアンドロイドの紹介、量子計算・老いのデザイン・ロボットとの共生などの企画などが解説されました。さらにインターネット番組での研究施設中継(-81℃フリーザーの見学、天文台アンテナ内部の取材)や、つくばセンタービルを会場とする科学技術週間プレイベントの運営事例が示され、サイエンスコミュニケーターの実際について深く説明をしていただきました。
また、質問パートでは、職能としてのやりがいや、研究倫理についての具体的な事例に関する質問が寄せられました。講師は、BSE(狂牛病)事例に言及し、科学的知見と社会実装の間で生じるリスクコミュニケーションの重要性、生命・家族・遺伝子編集など価値判断を伴うテーマの扱いにおける慎重さ、ならびに「専門語を日常語へ翻訳し続ける姿勢」の大切さを伝えていました。
参加者は、
・研究内容を「伝わる言葉」に翻訳し、限られた時間で要点を構成することが大切であること
・科学技術を社会に橋渡しする職能において、情報提供・対話設計・体験機会があげられること
・立場の異なる参加者同士で熟議の場をデザインすることの意義
などについて、理解を深めることができました。