第4回サイエンスカフェを開催しました<2018.1.20>

2018年1月20日につくばイノベーションセンターにて、第4回サイエンスカフェを行いました。今回は、オリエンタルモーター株式会社にお勤めの岩城匡広さんをお招きして、「世界を動かすモーターの魅力」というタイトルでお話しいただきました。

オリエンタルモーター株式会社は産業用のモーターや制御用電子回路の開発、製造、販売を行っている会社です。一口にモーターといっても、一般的にみられる動力から、位置制御、速度制御、温度管理など、用途やニーズに合わせて様々な種類があり、会社では、50,000種類もの取り扱いがあるそうです。私たちの身近なところでは、回転寿司の自動レーン、駅の自動改札やETCのゲート、半導体・電子部品の製造装置や工場の製造ラインの機械に使われるなど、食品、交通、産業、そして最近では医療や福祉にも、多様なモーターが色々な場面で私たちを支えているということがお話から実感できました。岩城さんは、現在、制御機器システム事業部の制御開発部に所属し、モーター制御のための回路製品(ドライバ)の開発に携わっておられます。

岩城さんご自身のお話については、キャリアの中での様々な出会いや考え方の変化、進路の選択などについて、段階を追って、とても丁寧にお話しをいただきました。

子供の頃、テレビアニメ等で観て憧れていた、「二足歩行ロボット」を、いつか自分で作って動かしたいという夢、胸を打つ「全国高等専門学校ロボットコンテスト」との出会いをきっかけに、工業高等専門学校への進学を決意。高等専門学校へ進学後は小型自立移動ロボットを各生徒が製作するという独自のカリキュラムや、卒業研究を経て、市販のロボットの歩行制御を達成し、岩城さんは子供の頃の夢を実現します。

そして、次の進路を考える段階で、ヒューマノイド(人型)ロボットへの興味の高まり、人の役に立てるためのロボットをつくりたいという思いの変化、そしてもっと工学的な実力をつけたいという意志の中で、筑波大学で研究が進められている「ロボットスーツHAL」と出会います。そこから、筑波大学への編入学を志望、同大学に入ってからは、物を把握する力をアシストする「指支援ロボットスーツ」の研究に打ち込み、さらに、大学院進学を決め、博士課程までロボットスーツの研究を行ってきたそうです。

大学では、「人型ロボットを作りたい!」という思いも強くなると同時に、様々なロボットに触れてくる中で、もっと軽く、トルク(回転力)が出て、サイズが小さく、簡単に動かせるモーターはないだろうかと考えるようになります。そこから、人型ロボットを作るためには、まず、モーターの改良が必要だという考えに至り、オリエンタルモーター株式会社に出会ったそうです。
岩城さんは博士の学位を取得後、オリエンタルモーター株式会社に入社し、現在、夢に向かって開発の仕事に取り組んでいます。

岩城さんは、これまで進路を決める段階でたくさん苦悩もあったと話します。
今回のご講演で、「自分は何がやりたいのか?」、そして、「夢の実現のためには何が足りなくて、どうしたらよいのか?」を考え、自分で知識をつけ、方法を調べ、考えながら進んでいく、そうしたプロセスの大切さを教えて下さいました。

最後に、受講生に向けて、自分のための時間や挑戦できる分野がたくさんあるうちに「様々なことにチャレンジして欲しい」、自信を持ってできることがあると、周りから頼りにされる、だから、「これだけは誰にも負けないというものを見つけて欲しい」、そして、なぜと思ったところから新しい発展が始まる、「疑問を持って」、という3つのメッセージをいただきました。

岩城さん、この度はご講演ありがとうございました!


実際に色々なモーターをみせていただきました!