冬のサイエンスキャンプを実施しました<2024.12.26-27>

2024年12月26日~27日の2日間、筑波大学にて冬のサイエンスキャンプを実施しました。

【1日目:2024年12月26日(木)】

午前中は、筑波大学数理物質系教授でプラズマ研究センター長の坂本瑞樹先生をお招きし、物理学に関する講義を行いました。講義では、まず物質とはなにか、物質の性質が変化するときの条件など、基本的な内容を含めてご講義頂きました。そののち、プラズマとは小中学校で習う「個体・液体・気体」に更にエネルギーを加え、状態を変化させたものであることを学びました。加えて、それらと電気的なエネルギーとの関係性、蛍光灯や放送など身近な事例との関連、発電等今後の技術開発プロジェクトの紹介など、多岐にわたる内容をご講義いただきました。

午後は、筑波大学計算科学研究センター教授でつくばSKIPアカデミープログラムリーダーの日下博幸先生の指導のもと、気象学実習を実施しました。
まず、1階と3階での気圧差を実感する実験を行い、気圧が高さによって変化することを体感しました。次に、マグデブルグ半球実験や簡易真空槽を用いた実験を通じて、空気には重さがあることを学びました。また、コップに水を入れ、入浴剤(または牛乳)を加えることで夕日がどのように見えるかを再現する実験も行いました。この実験では、光が散乱する様子を観察し、夕日が赤く見える理由について理解を深めました。

気象学実習の後には、サイエンスカフェを開催しました。今回は株式会社ウェザーニューズの羽入拓朗さんをお招きし、ご講演いただきました。「みんなの気象台」や「あなたの気象台」といったキーワードが印象に残ったことでしょう。また、羽入さんが語られた仕事への姿勢(例:「ちょっと気になったら恐れずチャレンジする」「できるからやる、できないからやらないのではなく、できないからやって、できるようになる」)は、受講生にとって良い刺激となったことと思います。

サイエンスカフェの後は、アドバンスコース生による個人研究最終発表会が行われました。約1年間にわたり個人研究に取り組んできたアドバンスコース生の発表は、非常に立派でよくまとまっていました。発表に至るまで、メンターの先生方や大学院生の指導を受けたり、スライド作成講座を受講したりしており、それらの成果がしっかりと反映された内容となっていました。

【2日目:2024年12月27日(金)】

2日目の午前中は、スターターコースとアドバンスコースに分かれて、それぞれ別の実習を行いました。スターターコースでは、化学実習を実施し、液晶の実験、溶解熱の実験、食品電池の実験に取り組みました。液晶の実験では、水とヒドロキシプロピルセルロースを混ぜ合わせることで液晶が生成される様子を観察し、その仕組みについて学びました。溶解熱の実験では、暑い日に使用するアイスパックに含まれる硝酸アンモニウムをお湯に溶かし、温度が変化する現象を体感しました。また、食品電池の実験では、レモンを使って電池を作ることで、食品を利用した発電の原理を学ぶ貴重な経験となりました。

一方、アドバンスコースでは、初日に続き、坂本瑞樹プラズマ研究センター長の案内のもとでプラズマ研究センターの見学を行いました。プラズマ研究センターでは、はじめに前日の講義の内容を踏まえながら、より詳しい「プラズマ」の定義や性質について講義を受けました。その後、キッチンコンロや氷など身近なものから、プラズマ発生機や専用の測定器を用いて、色や電子とプラズマとの関係性について、観察や実験を行いました。「軸対称化タンデムミラー装置 GAMMA 10/PDX」や、付随する操作室、専用の自家発電装置など、全体をくまなく案内していただきました。

午後は、国立科学博物館筑波実験植物園を訪問し、植物研究部の堤千絵さんに案内していただきました。植物園の入口近くに位置するセコイアとメタセコイアの説明は特に印象深く、これらの樹木が持つ特徴などについて興味深いお話を伺うことができました。この見学を通して、植物の多様性やその魅力を深く学ぶ機会となりました。